OPA627*4+BUF634型ヘッドホンアンプ
(ユニバーサル基板実装版)








スペック

    型式      : OPA627*4+BUF634型ヘッドホンアンプ
    ヘッドホン出力 :  - 
    電源      : 12V秋月スイッチングACアダプタ
    S/N比      : 100dB以上
    質量      : 約800g
    出力端子    : RCA*2
    出力端子    : 6.5mmステレオヘッドホンジャック


評価

 自分で実体配線図と回路図、共に考えて作ったアンプです。まずは回路図。



主な材料は、

 ・ 基板           ICB-97 一枚   (サンハヤト)
 ・ ハンダ          HS-372       (ホーザン)
 ・ ICソケット        丸ピン 必要数   (3M)
 ・ 可変抵抗         2回路6接点ロータリスイッチ*2    (アルプス)
 ・ アクリルのタッパ      冷蔵庫対応    (ホームセンター)
 ・ その他(ネジ、ナット、トグルスイッチ、PC関連部品など)



 まずはアンプ部

 アンプの心臓部ともいえるオペアンプにはOPA627BPを使用しています。前段の反転増幅回路に2個、後段の非反転増幅回路に2個使っています(各チャンネルごとに1個)。 前段は反転増幅回路で組み、その利率は1/12です。後段のBUF623とOPA627では約1.66倍に増幅しております。 最終的な全体での利率は約0.138倍となります。ちなみに前段を反転増幅にしてあるので信号は反転しています。 信号は反転していますが、取り扱う信号がアナログ音声信号なので、音が出ることに対して影響はないでしょう。

 一般的に、反転増幅は高周波には応用できないのでオーディオ帯域に限って使われることが多いらしいです。 なので周波数特性は非反転よりも良くないそうです。しかし、反転増幅回路では利率を1以下にできるので採用しました。 これは入力信号をあまり捨てたくなかったからです。OPA627のデータシートにも反転増幅が書いてあったので問題はないと思います。

 音声信号が通る抵抗にはDALEのNS-2Bを使用しました。これは巻線抵抗といわれる物で金属被膜抵抗、カーボン被膜抵抗に比べて音がいいといわれています。 入力抵抗にあたる24kΩのみ5Wとなっております。巻線抵抗は、線を巻いているだけの構造なので、高い値の抵抗値のものがありません。抵抗は海神無線で購入しましたが 一番抵抗値の大きい物で24kΩなんだそうです。この抵抗はもともとオーディオ用ではないので足が鉄?みたいです。消磁してから使った方がいいそうですね。 あとこの抵抗は誤差が1%以下で結構その値もそろってるのでそんなに大量に買う必要はないようです。使った感じですとニッコームもあまりばらつきがありませんね。

 それでいつものように、パスコンは積層セラミックコンデンサとタンタルコンデンサです。位相補正用のコンデンサはディップマイカを使いました。 あと音声信号のバッファに使ったBUF634はBWモードで動くようにBWピンと電源とを接続してあります。また、今回はオペアンプの出力を電源とつないでいないため A級動作ではありません。




 続いて電源部

 電源のソースには秋月製スイッチングACアダプター12V/1.2Aを使用しました。本当はトランスを使って電源を組みたかったんですが、今回は見送りました。 それで、分圧にはTLE2426を、電源のバッファにはBUF634を使用しております。色々アンプを作ってきましたが、今のところ、この組み合わせが私にとってはベストです。 この組み合わせで、ACアダプタのノイズなども聞こえません。おまじない程度にACアダプタの入力にコイルとコンデンサを挟んでみました。ACアダプタの線にもフェライトコアを 巻いております。あとTLE2426のノイズリダクションピンに1uFのフィルムコンデンサ(MPF)を接続してあります。

 グラウンドは一点アースで箱の一番下に敷いているアルミ板に落としてあり、コンデンサは、積層セラミック、ポリプロピレン、OSコン、MUSE-KZ、BlackGate-FX を使用しております。各容量は回路図の通りです。あと、この構成ですと電池ではまず動きません。ACアダプタのみの仕様としました。




 ボリューム部

 ボリューム部は最初東京光音の物を使ったんですが、あまりに音量が取れすぎるので、ロータリースイッチ二連にしました。 もともと、入力抵抗が最大の24kΩになっているので、これ以上音量を下げるとなると、可変抵抗も1〜5k程度のもを使わなければいけません。 しかし、高級といわれるボリュームはほとんど10kΩからのラインナップなので、諦めてロータリースイッチにしました。

スイッチの抵抗は

  1番  2番
  0    0
  47Ω   100Ω
  240Ω   510Ω
  1kΩ   2.4kΩ
  5.1kΩ  10kΩ
  24kΩ   51kΩ
(終点をグラウンド、始点をを片チャンネル(L、R)に接続)

となっております。これで10通り以上に音量が調製でき、使い勝手としては満足なレベルです。問題なのは、素子の足を使った空中配線の方でしょうか。。。。 できれば基板でくみ上げたかったんですが、スペースの関係で断念してしまいました。残念な点ですねw

 ケースは、ホームセンターで売っているタップ?のような入れ物で作りました。アクリルに似た素材なんですが、掘削性が良く加工しやすかったです。 今回は大きめの穴をいっぱい開けたので、この点では助かりました。見栄えはよくないですが。。。。。。

 今回は分圧のずれもほとんどなく、オフセットもかなり小さく良くできた(ICが当たりだった)と思います。


 最後に音

 一応作ったということで音の比較を。まず、NS-2Bのためと思いますが非常に音が濃くなりました。BUF634のおかげで力強さも加わって、さらに濃い感じです。 私にとってはちょっと濃すぎですが、エージングでだいぶ収まってきてるようです。次にバランスですが、これはDr.DAC用に改造してしまったOPA627を使ってるからか分かりませんが 若干低音が全体の音のわりに出ていないかなといったところです。不足はほんの少しなんですが、物足りないですね。この辺はいつも聞いているポータブルアンプがA級動作 で動いてることにも関係あるのかもしれません。Dr.DACから出力して聞いていますが、Dr.DACにもOPA627が刺さっているのであまり大きな変化はありませんね。

 それでも、クリアさ、透明感はDr.DACより上です。Dr.DACからの出力で聴き比べた場合はどうしても、出力の音がDr.DAC依存になってしまう上、相性もあるのであまり変化は感じられません。 逆に、据え置きのCDプレイヤーなどから出力した音で比べるとDr.DACとは一味違った音が出ます。さらにA900LTDよりもAD2000のほうがより良くなっているので、A900LTDが役不足な可能性もあります。 聞きやすさで言ったらDr.DACかもしれません。何しろこっちは非常に濃いので。。。。まぁ、クリアさだけで言ったらAD8610二段の方がいいですが私のやつは電池で動いているので どうしてもパワーが足りません。逆にこっちはパワーがある分クリアさが体感しにくくなっています。もともとOPA627の音も濃いですしね。

 聞く前は、巻線抵抗がS/N比も良く音もいい、と思っていましたが、このNS-2Bでも音に味付けが加わるようです。私が感じた限りでは金属被膜抵抗のような癖はあれどニッコームの方が 素直な音だと思います。S/N比だとやはり巻線抵抗が有利だと思いますが、そこまで音がいいのか?と言われれば、良いけど、それほどでもないといった感じです (良いんですが、これしか使えなくなるって程ではありませんね)。私の作りが甘くてそうなっているのかもしれませんが。。。。。。

 まぁ、オペアンプを使った作例ではこれ以上の部品はなかなかない(入手しにくい)ので、こんな感じでずっと使うことになるでしょう。 ディスクリートで組めばドリフト?とか、熱結合とかしないと出力がずれるので、カップリングコンをつけなきゃいけないでしょうし色々難しそうなので次に課題です。。。。。。。 あとDACを自作するとなるとさらに大変そうなので、素直に専用DACかCDプレイヤーあたりが欲しいところですね。



検索などで来た方はぜひ [HOME] に!!