スペック
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型式 : 非反転増幅+ダイヤモンドバッファ式
再生時間 : 約10時間
ヘッドホン出力 : -
電源 : 006P*2(9V電池*2)
S/N比 : 100dB程度
質量 : 約300g(電池含む)
出力端子 : ステレオミニジャック
評価
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オペアンプでの非反転増幅回路にダイヤモンドバッファを付けたヘッドホンアンプです。今回はケースを最初に決めて組みました。
主な材料は、
・ 基板&ケース SW120 (Takachi)
・ ハンダ HS-372 (ホーザン)
・ ICソケット 丸ピン 必要数 (3M)
・ 二連可変抵抗 2CP-601 (東京光音)
・ アルミ板 1mm厚 (不明)
・ 抵抗 1/4W カーボン抵抗 (秋月)
・ 抵抗 1/2W RMGカーボン抵抗 (リノケーム)
・ 配線材 スズめっき銅線Φ0.6 (不明)
・ 各種コンデンサ(タンタル、アルミ電解、ディップマイカ、積層セラミックなど)
・ その他(ツマミ、トグルスイッチ、006P電池スナップなど)
組み上がった写真が上記になります。今回は、オペアンプとBUF634のみICソケットに挿して、そのほかはすべてハンダ付けしました。
まず回路図
二連可変抵抗はいつものように東京光音の2CP-601を使いました。また、いつものようにボリュームとして正しくない使い方です。そのためBカーブにしました。
気になる方はAカーブできちんと音声信号がボリュームを通る配線にしてください。さらにこのボリュームは箱に対してかなり大きいのでボリューム直上が
箱と干渉してしまいます。私は箱の天井をそぎ落としました。箱を有効活用したいのであれば違うボリュームを使うのも手ですね。アルプスとか。。。。
一番上に見えている銀色の物体はアルミ板を加工した物です。これはA級動作にしているAD843が無負荷時にすごく発熱するため熱容量を増やすという意味でつけています。
両面テープで貼り付けているだけですのですぐはがすことができます。加工は金属バサミ、ペンチ等でできます。
今回の電源部はBUF634による分圧です。抵抗で分圧した物をBUF634に入力しています。BUF634は最大250mA流せるそうなので少なくても200mAくらいは流れてくれるでしょうか。
今回、電源部のコンデンサはスペースの関係上1000uF、二個にしてあります。容量は十分でしょうが、もしノイズが出るようであれば小さいのをパラで入れたほうがいいと思います。
写真ではBUF634用につける10uFのコンデンサがまだ付いてないですね。あと、回路図の方にはLEDを書きましたが私が作ったものは付いていません。
増幅に使用したオペアンプはAD843です。ブレッドボードで色々試した結果、ダイヤモンドバッファをつけNFBさせて、安定動作するもののひとつがAD843でした。
そのためAD843を使用しています。OPA627などでも安定動作してくれそうですね。基本的にユニティゲインのものを使う方が望ましいでしょう。
ダイヤモンドバッファに使ったトランジスタは前段が2SA970/2SC2240、終段が2SA1358/2SC3421です。最初は2SA1015/2SC1815で色々試しましたが、回路図のように抵抗が4.7k、
トランジスタがGRの場合には終段の2SA1015/2SC1815、2SA970/2SC2240は定格オーバーでした。よくよく考えてみると小信号用でかなり流せる2SA1015/2SC1815でもコレクタ-エミッタ間電流の
定格を守ると約40mAしか流せないことに気づき、どうせならということで後ろを余裕がある2SA1358/2SC3421にしてみました。前段はなんとなくより低雑音そうな2SA970/2SC2240にしました。
2SA1358/2SC3421は10Vまでなら1000mA流せるそうですが、あまりきついことはさせず、電池MAX時(9.6*2=19.2V)の電圧で、最大瞬間電流を300mA程度にしました。
トランジスタは発熱もなく安定しているようです。NFBがかかっているのでhFEをあわせる必要はありませんが、
せっかくボリ松からかったコンプリ(本当に合ってるかは謎です)があったのでそれを使いました。
A級動作にするために挟んである抵抗には結構電流が流れるので1W程度の物を使った方がいいと思います。今回は余っていたRMGを使いました。
もしかすると定格足りてないのかもしれませんね。そのほかの秋月の抵抗はスペースを稼ぐためにほとんどが立っております。
写真上方のパスコン周辺は空中配線になってるところもありますがスペースのため仕方なくそうなっております。
パスコン周辺(オペアンプの1番ピン、8番ピン付近の配線。
続いて音と使い勝手
今回はトランジスタでしっかりしたバッファを組んだということで結構いい音がします。電源部でもかなり電流を稼いでいますし、終段のトランジスタにも結構電流が流れるので
非常に力強い音です。音量は入力抵抗を変えてあげるだけで調節できますので、かなり感度の低いドライブしにくいヘッドホンでも入力抵抗変更だけで十分にドライブできそうです。
音の傾向は使ったオペアンプに依存しますが、AD843でもOPA627と負けないくらいよくなってくれています。さらに、抵抗、コンデンサなどもこれといって
高い物を使っていませんが、かなりいい音がします。今まで部品にこだわっていたのが滑稽ですねw。回路の定数、部品の選別などでも十分音質が向上するんだと再認識させられました。
やはりMeierなどと比べればクリアさなどは負けますが、基本的にヘッドホンを十分駆動できるので、やはりこちらにぶがあります。もっぱらこれで聞いています。
今回は、最初に箱を決めたということで、パッケージングは結構うまくいったと思います。私のMeierと比べても一回り以上小さい印象です。持ち運びに当たってやはり大きさは重要ですね。
RH1との相性もよく、非常に使いやすく、聴きやすい組み合わせです。スペースが開いた分たくさんディスクもてますねw。
最後に配線図
あまり、センスがある配線とはいえませんが、結構うまくできた(つもりな)ので配線図も載せたいと思います。最初にケースを決めたということで無理がかかっているところもありますが次に作る人の
アイディアの元になれば幸いです。
ちなみに、ピンクの線は基板上面での配線。緑が抵抗、楕円がコンデンサ、丸がボリューム&ジャックのピン、番号(@、A、B、C)は空中配線となります。番号同士を線材でつないでください。
入力付近の抵抗はあえて数字を書いていません。自分の環境に合わせて変更してください。もしなにかありましたら掲示板までお願いしたします。
(スルーホール基板を使う場合、配線が基板上下でクロスする場所はめっきを落としてから配線してください。上下の線がめっきで接続してしまうことがあります。)
追記
1/18/07
ちょっと思ったのですが、電源で仮にBUF634が250mAを流したとします。回路にはオペアンプもありますので、これに流れる電流なんかも考慮すると、
片chの終段のトランジスタに流せる電流は最大でも100mA程度と思われます。そうしますと、乾電池が新品で9.6V、私の使った2SA1358のhFEは178倍だったので、
使う抵抗の値は4.7kではなく20k程度の物を使わなくてはいけません。もし、4.7kのままでしたら瞬間的にBUF634の定格を超えることもありえます。
最悪BUF634が飛んだりするんでしょうか。。。。。。。。まぁ、トランジスタの方の定格は守っているのでそっちが壊れることはないでしょうが。。。。
ということで、終段のトランジスタに流れる電流を絞るため、4.7kの抵抗を24kに交換してみました。よく観察すると、抵抗交換前はBUF634が発熱していた挙動も
観察できたので、負荷がかかっていたんでしょうね。抵抗を変えてからはBUF634が異常発熱することもなくなりました。逆に、A級動作のためにAD843に流れ込む電流が
確保できたので、AD843の発熱はさらに大きくなったようです。。。。。音もA級動作に流れる電流の影響か、どちらかといえば緩く艶のある音だったのが、抵抗を交換した後は
鋭くとがった音に変わりました。全体的にみると、抵抗を交換した後のほうが性能は高そうです。
ということで、同様の回路を作製する際は、使用するトランジスタのhFEによって抵抗の値を変えた方がよさそうです。一般的に自作で使われるトランジスタのhFEは200〜400くらいの物が多いので
抵抗は20〜40kくらいのものを使うことになるでしょうね。そうした場合は前段に流れる電流も少なくなってしまいますので前段を減らさず、終段の電流を絞る場合は、さらにトランジスタを追加して
制限回路を組むことになります。その辺はスペースとの兼ね合いですが、トランジスタを電流制限に使ったダイヤモンドバッファの作例はネットにいっぱいありますので、
そちらのほうを参考にしてみてください。私が作ったこれは、スペースの関係上これ以上の部品追加は難しいですね。
7/07/07
色々な方々にアンプを聞いてもらいまして、悪いところも見えてきたので、定期的に直しております。
最初に、オペアンプをAD843からAD845に変更しました。また音の分離の改善のため、一部の抵抗を取り払い、配線を改善しました。
主にGNDの引き回しが大きく音に関係するみたいです。変更後の回路図は以下です。
この変更では入力抵抗を100kΩから24kΩに、オフセットを抑えるために入力抵抗の後に1kΩの抵抗を追加しました。また、入力直後にGNDに落としてあった抵抗は取り除きました。
次は配線ですが、GNDをボリュームの真ん中に一点アースしました。ジャンパが複数飛ぶことになりますが、それでもこちらのほうが良いようです。
さらにオペアンプのパスコンとつないでいるGNDは左右のチャンネルでパスコンを二個ずつ担当するように途中の配線を切って、一点アース先に接続しています。
一点アースする時は、接続部分が大きくなり、出力の小さなコテではハンダが隅々まで流れない可能性もあるので、ブースト機能付きのコテか、ワット数の高いコテを
新たに新調する必要性もありそうです。
ここからは、消費電流が上がるのでお勧めしませんが、チップ抵抗を使いトランジスタの動作をAB級にしてみました。歪みが減ると同時に消費電流が上がり音が若干小さくなります。
チップ抵抗を追加した回路図が以下です。
これで実測、片チャンネルの終段のトランジスタに流れるアイドリング電流は約4mAで2チャンネルで8mA。オペアンプの消費がAD845二つで約20mA。BUF634の消費が約2mAなので、
消費電流は30mA。もし200mA/hの充電地を使うと約6時間半使えることになります。だいぶ短いですね・・・・
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