オペアンプ&トランジスタの比較試聴







スペック

    型式      : オペアンプ(非反転)+ダイヤモンドバッファ
    再生時間    : 約10〜15時間(OPAによる)
    ヘッドホン出力 :  - 
    電源      : 006P*2(9V電池*2)
    S/N比      : 100dB程度
    質量      : 約200g(電池含む)
    出力端子    : ステレオミニジャック


評価

 オペアンプでの非反転増幅回路にダイヤモンドバッファを付けたヘッドホンアンプ(ブレッドボード)でのオペアンプ、トランジスタ比較です。 ももじさんのHP で公開されている物と定数は同じです。

 オペアンプの交換比較はトランジスタ2SA1015/2SC1815で行いました。

 トランジスタの比較を行うときは、オペアンプOPA2134PAで行いました。




オペアンプの比較




AD:AD8065AR

 音のバランスはいいほうです。解像度、ダイナミックレンジはほぼ627BPと同じくらい。つや、音の厚みなどは627BPよりないと思いますが 制振&電磁波シールドを行う前でもある程度高音が出ている感じです。これもすばらしいオペアンプのひとつだと思います。制振&電磁波シールド済み OPA2134PAとくらべるとそれでも高音はおとなしいと思います。シャリつかないので聞きやすいでしょう。制振&電磁波シールドを 行うとさらに解像度、ダイナミックレンジが上がり音がよりタイトになる様に感じました。ポップノイズは結構大きいです。

 どうしても、この回路で使用すると、発振するようで、ボリュームを動かすとがりがりとノイズが入ってしまいました。


AD:AD8610BRZ

 音のバランスはいいほうです。解像度、ダイナミックレンジは627BP、AD8065ARと同等だと思います。音域バランスは、ほぼAD8065と同じで、そのバランスのまま 音を厚く、太くした感じです。そのため若干AD8065より聞こえの解像度、ダイナミックレンジは低く感じました。また627BPほど艶や、音の厚みがあるわけではないようです。 悪魔でAD8065準拠といったところでしょうか。ポップノイズはかなり大きいです。高音が制振&電磁波シールド前でも出るようで、さらに音がAD8065より厚いので、太い音が好みの方は 試す価値があると思います。制振&電磁波シールドを行うと音が締まり、さらに解像度、ダイナミックレンジが上がったように感じました。ちょっと音が厚い方向とは逆になりましたがしっかりした 音が出るようになり、とてもいいオペアンプだと思います。

 ただし、私の環境ではローパスフィルター(補正用コンデンサ)をつけると、発振しました。つけない場合は大丈夫なようです。


AD:AD797BRZ

 音のバランスはいいほうです。解像度、ダイナミックレンジですが627BP、AD8065ARに比べればややないと思います。つや、音の厚みなども627BPよりないようで、AD8065と同じく音は細い感じです。 低音が不足するほど音域のバランスは偏ってはいないと思いますが、それでも高音よりなようです。高音が華やかで、量も多く出るため、ぱっときいた解像度は良く聞こえます。 でも、ダイナミックレンジというか奥行感はそれほどでもありません。バランスは高音よりですが、それほど高音が耳に刺さることもなく、聴き疲れはしないほうでしょう。 逆に問題なのは、AD797を動かすための電流が多いことです。AD8065の二倍ほど電流を食うので、回路設計の際には注意しましょう。電池のもちなども悪いと思います。ポップノイズはかなり大きいです。  

 どうしても、この回路で使用すると、発振するようで、ボリュームを動かすとがりがりとノイズが入ってしまいました。 ユニティーゲインではないようで、ゲインを変えた場合は周りの抵抗、コンデンサの値を変えないといけないらしいです。使うには少々面倒なようですね。


AD:AD843KNZ

 音のバランスはいいほうです。解像度、ダイナミックレンジですが627BP、AD8065ARとほぼ同等か少し劣ると思います。音のバランスは、低音がやや多く、高音がおとなしい印象ですね。 高音の鳴りは金属的で2134PAに似ていると思います。バランス的には627BPとよく似ているようです(音のつくりは627BPとは根本的に違います)。 一方、低音は、量も多く、締まっている感じもあまり受けません。これとは対照的に中域はすっきりしており、ボーカルなどはしっかり聞こえました。 高音は金属的な表現ですが、あまりきつくはないようです。低音、中域、高音、それぞれ、別のキャラクターでなるように感じるので、統一感は悪いと思います。 制振&電磁波シールドをすることで、低音が締まり、高音が前に出てきてよりフラットなバランスになるかもしれません。 少なくとも、AD797より音はよさそうです。

 最大の欠点は、消費電流です。これはかなり大きく、627BPの1.5倍以上だそうです。電池が持たないというか、駆動時間が非常に短いです。 定格の電流が取り出せなくなったとたんプッツンと切れて動かなくなるようです。ヘッドホン、イヤホンをつないでる時は非常にその時の音が痛いです。 ポップノイズもかなり大きいと思います。 あと最後に、オペアンプで分圧している場合は、オペアンプの最大出力電流に気をつけましょう。これが低いと、まずこのオペアンプは動かないと思ってください。


BB:OPA2134PA

 音のバランスはいいほうです。解像度、ダイナミックレンジは2604APとくらべ一ランク劣っている印象です。しかし制振&電磁波シールド をすることで解像度、ダイナミックレンジともに大きく改善されるように感じました。高音が金属的というか華やかになる感じがあります。 それでも制振&電磁波シールドを行うとだいぶ落ち着く印象です。このチップは制振&電磁波シールドでかなりその性能が向上すると思います。 2604にも引けをとらないようです。その上バランスがいいので非常に使えると思います。ポップノイズは小さいほうです。  


BB:OPA2604AP

 音のバランスは高音がかなり強調されており、その量も多いです。解像度が高く聞こえるみたいですが若干耳に刺さります。同ランクの他のチップに比べれば 解像度、ダイナミックレンジは高いと思います。制振&電磁波シールドをすると高音の硬さは取れますが、逆に中音域が引っ込むようで中音域を聞こうとすると音量は大きめになってしまうようです。 解像度は高いですが、音の揺らぎなど繊細な表現は苦手なように思います。ちなみにDr.DACにOPA2604AP*2をセットしAD2000で聞くと非常に気持ちいいバランスになります。ポップノイズはかなり大きいです。


BB:OPA627BP

 音のバランスは高音が若干凹んだ感じです。しかも、このオペアンプは値段がかなり高いです。一連のDr.DAC改造、および自作ポータブルヘッドホンアンプの影響で、 プレミア的な価格分ものっているようですね。その値段に見合うだけの性能は秘めているとは思います。ノーマルのままですと高音が若干出ない感じを受けますが 、解像度、ダイナミックレンジともにかなりの高レベルだと思います。皆さんが言われているように音の揺らぎを鮮明に表現することができるようです。 制振&電磁波シールドによってさらに性能は向上するようで、高音もほぼ問題なく出るようになったと思います。現状では最高のチップでしょう。 ポップノイズはかなり大きいです。


JRC:5532DD

 音のバランスは高音が若干凹んだ感じです。なぜかデータシートはNJM5532のやつがついてきました(物は同じ?)。 解像度、ダイナミックレンジ共に使用に耐えるレベルだとは思います。音もある程度左右に広がっておりオーディオしてる感じはするようです。 バランスは若干低音よりで高音も出ていないわけではありませんが、高音の表現があっさりしているため、伸びるような華やかさとか、きらきらしている感じはあまりしません。 高音の解像度もいまいちなようです。中音〜低音域に関してはなかなかいいのですが、今一歩というところでしょうか。音場もある程度表現はできているようです。 制振&電磁波シールドを行うとだいぶよくなるかもしれません。ポップノイズは結構大きいです。


JRC:2114D

 音のバランスはかまぼこです。データシートには5532より良いと書いてありますが、一概にそうではないようなきもします。高音の感じ、低音の感じは5532に似ていると思います。 解像度、ダイナミックレンジは共に5532よりは良い印象です。バランスは中音域が盛り上がっていてかまぼこです。悪くはないと思います。5532同様高音がさっぱりしている感じですね。 それに比べて低音は5532のようにしっかりしていないようで、これも仕事をサボってる感じです。音場をよく表現できているとは思いますが、それほど左右に広がる感じでもないようです。 他のチップと大きく違うのは出力が高いことでしょうか。高出力、高消費電力なチップみたいですね。ポップノイズはかなり大きいです。電池の持ちも悪いかも知れません。 あと、一番最初に聞いたときは若干ノイジーだった気もします。


JRC:4580DD

 音のバランスはいいほうです。悪くありません。しかし、音の広がりはかなり少なく、耳にまとわりつく感じです。 モノラルを聞いているような感覚に近いです。出力はさほど大きくなく他のチップと比べてボリュームを回さないと聞ける音量にはなりません。 最低動作電圧が低いので電池のもちはよさそうです。解像度、ダイナミックレンジともに2134、5532に比べても悪い感じがします。ポップノイズは小さいです。


TI:NE5534AP

 音のバランスはいいほうです。5532DDに近い感じではありますがNE5534APのほうがより丁寧に増幅している感じです。高音がやはり少しおとなしいのはありますが 全域にわたって音は出ているようです。解像度、ダイナミックレンジはそれほど飛びぬけてよいわけではないようです。しかも制振&電磁波コートを 期待してシングルタイプのものを購入しましたが意外とその効果は少ないみたいです。もともとの製品の状態で振動対策がなされているのかもしれませんね。 せっかく作ったのでエージングしてみたいと思います。


私的解像度&DR

 OPA627BP-S≧AD8065AR-S=AD8610BRZ-S>OPA627BP≧AD8065AR=AD8610BRZ≧AD843KNZ>AD797BRZ>>OPA2604AP-S≧OPA2134PA-S>NE5534AP-S>OPA2604AP>>OPA2134PA>NE5534AP>2114D>5532DD>>4580DD




トランジスタの比較




A1016/C2362

 今まで挿していたA1015/C1815とほとんど変わりませんでした。ちょっとは変わると思いますが、あまりの変化の小ささに、文字に起こすことができません。 これは一個105円なのでこれ挿すくらいならA1015/C1815で十分だと思います。なんで高かったんだろう。。。。


A970/C2240

 これは、変化がありました。より、音が薄く、シンバルなどの高音が乾いた感じになるようです。単純に解像度が上がった感じでしょうか。 オペアンプですとアナログデバイスのような感じといえば分かりやすいかな。。。チップは東芝製らしいです。ある程度音の厚いオペアンプとは 相性が良いかもしれません。OPA2134PAですとより高音のシンバルなんかが金属的に、華やかになる感じです。でも音が澄むのでオペアンプの組み合わせでは 逆に不自然になってしまうかもしれませんね。アナログデバイスのオペアンプと組み合わせると相性悪そうです。。。音も若干締まった感じになったようです。 今回の交換では、特徴が少なく、解像度があがるみたいなのでこれが一番印象が良かったです。


A992/C1845

 これはももじさんお勧めのトランジスタです。これも大きな変化がありました。これは、音がより厚く、濃厚な感じになり、中域が豊かに、低音に温かみが出るようです。 響きも若干長いでしょうか。音の密度が上がる感じです。そのため、A970/C2240とまったく逆の印象に思えました。 OPA2134PAとの組み合わせでは、音の密度が高すぎ、ちょっと厚すぎで、私は聞いていられませんでした。 解像度自体はあると思います。しかし、音が厚くなったり、低音が温かみあふれる感じになるということは、逆に解像度の点から言うと、 どれもマイナスですので、聞こえの解像度自体は、あまり良く聞こえないようです。

 音の厚みは、627BPに似たものがありますが、これは627BPよりもさらに厚いと言った感じです。 AD797なんかとは相性良いでしょうが。。。エージングで音の厚みはどうなっていくんでしょうね。。 あとももじさんが言われている通り、このトランジスタは、かなり癖が強いので、オペアンプ側の特徴も、ある程度食ってしまうようですね。

 ジャズなんかの音源や、録音された音源はかなりうまく表現できてると思います。 が、どうしても低音が締まった感じではないため、打ち込み系の音は、だらしなくなり、さらに濃厚になるようです。 なのでJ-popとはあまり相性がよくありません。ボーカル物なんかはいい感じなんですけどね。




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