HD30GB9







スペック

    型式       : HDD型デジタルオーディオプレイヤー
    再生時間    : 20時間(128kbps-MP3時)
    ヘッドホン出力 : 8+8mW(16Ω時)
    容量      : 30GB
    質量      : 140g
    出力端子    : ヘッドホンジャック
    入力端子    : USB、DCジャック


評価

 高音質をうたったKENWOODのHDD型デジタルオーディオプレイヤーです。シリーズとしては3番目の製品になります。 これまでに、HD30GA9、HD20GA7などが発売されています。記事を書いている途中で、HD10GB7なるものが出ていることも知ってしまいました。 こちらも興味深い製品なようです。


全体的な使い勝手。

 製品にはクイックスタートマニュアルという簡単な取扱説明書が付いてきますが、これだけでは到底満足できる内容とは言えず 結局本体に収納されているPDFファイルを開いて見なければいけないようです。そこまでして、コストを削ってるんですね。そのためか、買ったときの パッケージはものすごく小さく、本当にこの中に入ってるの?と疑問まで抱きました。付属品をケチっているのは取扱説明書だけではなく、 充電用のACアダプタも付いてきません(DCじゃっくあるのに)。なので、付属品はUSBケーブルとイヤホンだけとなります。転送ソフトのインストール用CDもついていません。 転送ソフトはHDDプレイヤーからPCへインストールすることになります。

 その転送ソフトなんですが、これまで言われているように、非常に使い勝手が良くないと思います。設定できる機能も多くなく、本当に転送だけを目的としたソフトです。 同期なんかもしてくれるみたいですが、これを利用するには、PC上にHDDプレイヤー専用のフォルダをつくりその上で編集してそれを同期させることになるわけで、 音楽データを100GB以上持っている私には非常にこくな話です。HDDの残量も30GB分余計に使わないといけないわけですし。。。ということでファイルを指定して転送となるわけですが 総合オーディオソフトではないので選択するだけでも一苦労です。しかも、この転送ソフトを使わないと恐らくWAVとロスレスファイルは鳴りません。非常に困ります。 それでもロスレスの価値はあるようで、少しであれファイルサイズが小さくなることは喜ばしいことでした。(RH1はロスレス非対応)


プレイヤーの使い勝手。

 プレイヤーは極普通なインターフェイスで、操作するにあたり気になった点は特にありませんでした。これは仕方のないことかと思いますが HDDにデータを書き込むため、アクセスに時間がかかり、その間はプレイヤー、転送ソフト共に一時的に止まってしまいます。この辺は容量と引き換えですね。 あと、一般的なポータブルオーディオにはリモコンが付いているものですがこれはもちろん本体で操作するわけです。で、その本体はというと、ちょっと手に持つには大きいんですね。 いちいちこの大きさのものを取り出して操作するとなると結構めんどくさいです。リモコンも、別売りかなんかで拡張性があったほうが良かったと思います。でも実際そうするとなると 無駄な部分が増えて余計に音質が悪くなることも考えられるので、この辺は妥協ですね。電池ですがやはり20時間と書いてあるだけのことはあるようで、WAV時ではRH1、ipod-nanoよりも 電池は長く持つようです。充電も思ったより早く終わり電源周りはしっかりしている印象ですね。


ヘッドホンジャックについて。

 極一般的なオーディオ製品は、出力にカップリングコンデンサを安全のために挟んでいる場合が多く、そのためヘッドホン側には 直流が流れないものです。そういう場合では一般的にはプラグの抜き差しで「ブチッ」というノイズは出ないわけです。オフセットももちろん0Vですね。 ちなみにRH1にはカップリングコンデンサは入っています。しかし、この製品はステレオミニプラグを差し込む時に「ブチッ」と直流が流れるようなノイズを発します。 恐らくですが、最終的な出力の前にカップリングコンデンサが入ってないように思います。オフセットも1.2mV程度あるようです。 それもあってか、取扱説明書には「電源を入れたままヘッドホンジャックを抜き差しするな」と書いてあります。 ノイズで耳がやられないようにという配慮なんでしょうね。カップリングコンデンサを取っ払うというのも音質からの配慮と思います。


音質について

 それで、音質の話となるわけですが、同じ土俵にいると思われるRH1と比較する方が簡単なので比べてみたいと思います。まず一番気になると思われるノイズについてです。 この製品は昔からノイズが多いということが欠点のモデルでしたが、このHD30GB9でも完全にノイズは消えていません。プレイヤーが動いていない時はノイズはないようですが、 再生が始まると共にホワイトノイズが出ます。E4cで確実に分かるレベルです。その大きさはそこまで大きい物ではありませんが、静かな場面でカナル型、高能率のイヤホンなどで 静かな曲を聴くと結構気になります。この、ノイズが大きく聞こえる環境においても、音の多い曲などではノイズはあまり気にならないです。でも精神衛生上あまりよくないですね。 ノイズフロアが高いとダイナミックレンジも取れないわけですし。。。そうですねえ。大体CT720ほどはノイズがあるように感じます。NE20、RH1、nanoとかと比べるとやはり大きいですね。

 次に音のバランスです。まず低音ですが、思った以上に引き締まった上質な低音が出ます。RH1でも低音はポータブルにしてはすばらしい音ですがGB9はさらに低音が締まっています。 その低音の全体的な量はRH1と比べると少なめなようです。ここはGA9からGB9にモデルチェンジして一番変化が大きいところでしょう。やはりプリ部とアンプ部をセパレートにしたかいはあるようですね。 次に高音ですが、これはRH1と比べても非常に出ています。しかし、改造版Dr.DAC、据え置きのDVDプレイヤーなどでさえ聞こえない音を、再現しているようなので 作為的に感じます。高音が華やかに細くなるので空間表現もよいように聞こえ、言うことはないのですが、どうしても原音とは違うため気になってしまいます。 もちろんサプリームはオフ、イコライザは無しにしてあります。もしかしたらこのサプリーム機能のためにDACあたりが特殊なのかもしれません。奥行感、音場感は共にGB9のほうが良く聞こえます。 高音が伸びるので聞こえはいいようです。全体の音も、RH1は太い音に聞こえるのに対し、GB9は本当に細く聞こえます。あとカップリングコンデンサをかんでるせいかRH1のほうが 音の立ち上がりが悪く聞こえますね。音が鈍い感じです。もちろん音が細いので、ある程度音が太いヘッドホンと相性がいいようです。ER系ですと音の分離感が良すぎるかもしれません。 E4cで聞いていますが、このくらいでちょうどいい感じです。出力もGA7から比べれば上がったらしく(再生時間が犠牲になったみたいですが)、E4cも十分に駆動できていると思います。 大型や能率の低いヘッドホン、イヤホンは厳しいかもしれませんが、大抵の物はしっかりなってくれそうです。

ということで、ポータブルプレイヤー単体としてはノイズ、高音の(作為的な)華やかさが気にならなければRH1<GB9です。

 それで、続いて外付けアンプの話になるのですが、GB9→AMP→HPとつないだ場合は、音が小さくまとまってしまいAMPを挟む効果があまりありませんでした。むしろAMP使わないほうが いいと思えるくらいです。逆にRH1ではラインアウトがあるため外付けのアンプを挟んだ時の音質向上はかなりあります。

よって、ラインアウトとして使う場合は圧倒的にRH1>GB9です。

 もともとラインアウトとしては考えられていないので仕方のないところですね。一般的な人は外付けアンプなんて使わないでしょうし、ポータブル単体ではこっちでしょう。 聞き比べて思いましたが、やはり、かなりフラットといっても、RH1はソニーらしく、GB9はケンウッドらしく聞こえますね。やはり開発する人によってこの辺は左右されるようです。 ここまで音質に気を配っても個性は出るんですね。不思議な物です。

 最後にサプリームですが、これは元の音を改変してしまう仕様なため、これがあるから高音質とはいえないと思います。 聞こえがよくなるかもしれないおまじない程度に考えたほうがいいと思っています。実際使うと電池の減りが早いですし、他のプレイヤーとの比較もできません。。。。 あと、このプレイヤーでロスレスを再生すると約15秒に一度HDDにアクセスします。そのときは本体がゆれますw。 HDDということで、衝撃に弱いはずで、この15秒ごとに動くHDDを完全に防御することは不可能だと思います。恐らく再生中に落とすと一発でしょうね。 大事に使ってあげたい品です。実際、ACアダプタ無しで使っていますが、外に出る(旅行などの)際などは容量も大きいですしACアダプタがあれば再生し放題でしょうね。 実際に欲しいです。でも別売り。。。。恐らく注文でしょうね。。。。あぁめんどくさいw




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