ER-4S







スペック

    型式       : バランスド・アーマチュア方式
    インピーダンス : 100Ω
    出力音圧レベル : 98dB/mW
    周波数特性   : 20 - 16kHz
    質量      : 28g(コード除く)


評価

 Etymotic ResearchのER-4S。いわずと知れたカナル型イヤホンです。インピーダンスが高く音量が取れにくいためなかなか使いこなす ことが難しい一品です。本来は律儀な箱に入ってるようですが、今回は借り物なため箱はなく、実物だけです。

 この製品はフィルターが交換できるつくりになっていて、非常に好感が持てます。さらにもちろんイヤーチップも交換でき 消耗品の管理はばっちり出来ます。長く使えるいい仕様ですね。あとよくタッチノイズが醜いと言われていますが、使い方によっては 十分押さえ込むことが出来ると個人的には思います。E4cはその辺が非常にうまいですが、ヘッドホンの一部でもこのくらいのタッチノイズは でるので、まぁ我慢できる範囲でしょうか。

 問題になると思えるのは、逆に装着方法だと思います。この製品は耳のかなり奥までフランジ(三段キノコ)を押し込めないと、 本来の音が出ません。しかも、耳の中でのユニットの角度や位置などが少しでも違うと定位が崩れどちらかに音がよってしまいます。 さらに、装着するには技術が必要なうえフランジを押し込むのは耳に対してかなり負荷をかける行為であり、短時間に装着を繰り返すと 耳が非常に早く痛みます。また、フランジを引き抜く時もかなり耳にとって負担が大きいので、話しかけられて取らないといけない時などは がっくり来てしまいます。耳の形が左右でかなり違う人は音の定位がきになって仕方ない可能性もありますね。

 きちんと装着できれば、定位はかなり良く、音の細さと合いまって、楽器の位置、左右の分離などがかなり良く聞こえ、 特にクラシックを聞くときはかなりの相性のよさを発揮します。逆に、低域の音圧があまりないので、ロックやJ-popの一部は 相性がよくないです。さらに中域から高域にかけて帯域が盛り上がっており、高域の量が多めに聴こえるので、男性ボーカルなども苦手でしょう。 逆に女性ボーカルはかなり綺麗に聴こえます。線が細い音であるため解像度は非常に高く聴こえます。音の粒もかなり良く聞き分けられ、モニター的な感じはします。 モニター的な音ではありますが、帯域がフラットではないため、聞いていてすごくつまらないなんてことはあまりないです。 逆に正確無比に聴こえますが、個人的にはこれ自体が味付けだと思います。

 遮音性がかなりいいため、外の音は全く聞こえません。電車内でもほとんど外の音は聞こえないでしょう。 その遮音性から、外で歩く時、自転車を乗るときなどにつけると、本当にそのまま死ねると思います。 図書館などや、電車の中など、座って自分の身の安全が確保されている場所でしか使えないでしょう。 さらに、感度が低くインピーダンスが高いので、本領を発揮するにはアンプが必須となってきます。 4世代くらいまでのipodなどでは音量が取れるでしょうが、国内製品などは絶望的ですね。 一番歪みが大きい、音量MAXでやっと聞ける音量といったところでしょう。

 この製品はバランスドアーマチュア方式のユニットが一つなので、超低域と高域の高いところは、スパッと聞こえません。 ヘッドホンなどはかなり低いところから、かなり高いところまで聴こえるので、そういう点では周波数特性が悪いですね。 E4cは上をだいぶ削って、低域の音圧が取れるようなバランスになっていますが、こちらは逆に低域の音圧はある程度捨てて 高域の華やかさにバランスを調節しているようです。このような違いからも、得意分野はまるで逆です。E4cではクラシックは聞けませんねw。 また、どちらもかなり高い周波数の音は出ないのでこの辺は耳のことを考えて作られているようです。両製品ともかなりいい製品ですが、 はやり、3万〜5万クラスのヘッドホンと比べてしまうとそちらのほうが聞こえがいいと思います。

 ER-4Sのレビューは、ネットで検索するとやまほど出てくるのでこのくらいでいいかなw。この製品をお貸ししてくれた方には感謝いたします。 借り物なのでエージング関係はわかりません。ちなみにラインはかなりしっかりしており、プラグはL字で金メッキされています。 総合的な性能ですと、E4cもER-4Sも大して違わないと思います。4Sの方がインピーダンスや感度の関係で有利ですが、 両方ともガンガンなるような環境ではほとんど差はないと思います。音色が決定的に違うので必ず好みが出るでしょうね。 この価格帯には5Proなどもありますが、5Proはユニットが二つなので比較するのは適当ではないでしょう。 ユニットが1つであるこの製品は、自然ななり方という点では優秀だと思います。ユニットが増えれば増えるほど、不自然さが顕著になってきます。 昔は、ER-4Sしかなかったのでしょうが、今はライバルがいっぱい出てきてますね。消費者にとってはいいことかと思います。 まぁ、個人的にはE4cも、ER-4Sも10万クラスのアンプで鳴らすような品物ではないと思いますw。それで、外で使うことになるんでしょうが、 市販品のアンプでこれの本領をフルで発揮できるものなんてあるんでしょうかw。相性がいいアンプはある程度あると思いますが・・・・。




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